第1830回
違った角度から自動車ブームに乗る手も

日本でもかつて
いまの中国のマイカー・ブームと
同じようなことがありました。
私がトヨペットの新車を買ったのが
昭和34年の夏で、
トヨペットの販売会社の社長さんと
知り合いだったので、
1台100万円の車を一生懸命値切って、
やっと95万円に負けてもらいました。
まだ月給が1万円から2万円くらいの時でしたから、
飲まず食わずで働いても
5年や8年かかった頃のことです。
どっちにしてもサラリーマンにとっては
縁の遠い存在でした。

それなのに、
晴海埠頭の自動車ショーに行って見ると、
会場は若い人で溢れており、
帰りの電車を待つ長蛇の列に並ぶより、
銀座4丁目まで歩いて出る人たちで道が一杯でした。
「これはどういうことだ。
 若い人たちが自動車に熱をあげるのはわかるけれど、
 お金があったら、自動車を買おうかなんて
 生やさしいことじゃないぞ。
 お金がなくても、何が何でも自動車は手に入れるのだ、
 というのがいまの風潮だ」

そう思ってすぐに証券会社に電話をかけて、
当時、既に高値を呼んでいた
トヨタ自動車の株を買いました。
そうしたら、時価発行増資という
それまでになかった増資が発表されて、
株価が逆に売られて
値下がりをしてしまいました。
あわよくば株の儲けで新車を只にしようと
欲の皮を突っ張らせたのが
下手をすると2台分払わされるところまで
追い込まれたのです。
やむを得ず、ジッとガマンの子でこらえていたら、
やっと値が戻って結局、25万円儲かり、
その分、新車に支払った分を補うことができました。

そういうことがあったので、
自動車ブームを目の前にして
自動車株を買うのは
必らずしも間違いではないでしょうが、
あの頃はまだ自動車メーカーが乱立していて、
どの自動車メーカーが最後に残るのか、
さっぱり見当のつかない時でしたから、
私は視点を変えて
別の角度からマイカー・ブームを見なおしました。
私は自動車の株を買うよりも
トンネルを掘る会社だとか、
橋を架ける会社に目をつけたのです。


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