第1896回
二つに分かれていても中国は一つ

私が上海と北京に滞在しているあいだに、
反日抗日デモもありましたが、
続いて台湾の野党である
国民党主席連戦の北京入りと、
更に第三党である
親民党主席宋楚瑜の北京入りがありました。

国民党主と共産党主の会談は
蒋介石と毛沢東の国共会談以来、
60年ぶりの出来事で
昔の歴史がなお記憶にある人にとっては
感慨の深いものがありますが、
戦前のことを全く知らない人にとっては
説明を要する歴史的事件です。
お互いに当然、言い分のある会談ですが、
結果として蒋介石は
大陸から追い落されて台湾に逃げ込み、
大陸には毛沢東による
中華人民共和国が樹立されて
半世紀あまりがたちました。

既に蒋介石も毛沢東も他界し、
それぞれの地域はそれぞれの後継者によって
統治されていますが、
50年あまりも隔絶したまま推移すると、
政治や経済はもとよりのこと、
生活のレベルや物の考え方にも
かなりの違いが生じています。
台湾側は共産党の治下に隷属されることをおそれて
独立志向の強い民進党の天下になり、
憲法の改正から国号の変更まで
大陸の嫌がる政策をちらつかせているのに対し、
あくまでも台湾の独立に反対する大陸側は
武力攻略も辞せずと
高飛車な態度を崩さなかったので、
台湾海峡は波の高いまま、
更に一段と緊張する可能性を見せています。

台湾海峡の問題は
アメリカも深くかかわっているので、
統一と二つの中国の間を
宙ぶらりんになったまま、
口では双方の対話をすすめていますが、
本当に双方が話し合いによって
現状を大きく変えるようなことが起ったら
アメリカもじっとしておれなくなる
厄介な問題なのです。

それに対して江沢民のあとをついで
新しく中国の国家主席になった胡錦涛が
新しい一石を投じたと見るべき変化が起ったのです。
双方ともはっきりと
そう言っているわけではありませんが、
「現状の維持」を認めた上での
次の展開がはじまったと私は見ています。


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