第2120回
成熟化のあとの日本は未知数です

30年あまり前、私は次の日本のトレンドとして、
老齢化、成熟化、国際化の3つをあげて、
必らず3つのことが同時に起るから
仕事を選ぶ時も、事業を起す時も
それにうまく乗ることをすすめました。

老齢化は高度成長によって
日本人が豊かになると、
平均寿命が伸びるようになったのと、
女の人が子供を生まなくなったのとで、
このまま時間がたてば、
いやでも年寄りだらけになってしまうと思ったからです。
年寄りばかりになって若者が少くなれば、
年金を払い込む人が少くなって
年金をもらう人ばかりになってしまいます。
そうしたら年金の財源がなくなってしまって
年金制度は崩壊します。
そう考えて家族会社をつくった時、
従業員たちは厚生年金に入りましたが、
家内と私だけは
自分で自分の年金をつくればよいと言って
加入しませんでした。

この1、2年は
年金制度がうまく稼動しなくなって、
政府もジャーナリズムも
このまま放置しておけなくなったので、
「それ見たことか」と快哉を叫びたいところですが、
家内に言わせると、
「私が死ぬ頃まではまだ貰えるんですよ、
 あなたはいつも早とちりなんですから」
というのが正しいのだそうです。

成熟化というのは、
人間の身体と同じように
経済もいつまでも成長を続けるわけではなく、
一定の骨組ができあがったら、
あとは成長がとまって
同じことのくりかえしになるということです。
そうなった時に人も企業もどうやって生き残るかを
考えなければならなくなります。
そういう時がいつ来るかはわからないけれども、
いつか必らず来ます。
しかし、来そうで来ないことが何回もくりかえされて、
実際には1989年、つまりいまから16年前に
バブルがはじけたのです。

経済が成長している時には
成長がとまったらどうなるのか見当がつきません。
人間の場合は「熟年」などと
美化した表現でごまかしていますが、
低成長が続くなかで産業界は
かなりひどい目にあいました。
これからどうなるか、本当のところ
未知数というのが正しいのです。


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