中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2125回
部外者が寄りつけない弁理士ビジネス

知的な仕事で、
社会の発展にどうしてもかかせないものに、
知的財産権の保全というビジネスがあります。
中国をはじめ、東南アジアに行きますと、
どこにでもDVDなどのコピーを売っています。
書物の著作権も同様で、
私は中国で自分の知らない自分の著作に
サインをして下さいと頼まれたことがありました。

台湾でもかつて
海賊版がたくさん出廻っていましたが、
台湾が知的財産権の国際法に加盟すると、
海賊版は姿を消してしまいました。
いまアメリカが中国に最も激しく迫っているのが
知的財産権の保護です。
中国はこれまで大半の企業が国営でしたから、
商標から生産技術まで
民間から邪魔されることがありませんでした。
知的財産権に対する反応が
その分だけ鈍感なまま今日に至っているのです。

でも企業の民営化と国際化がはじまると、
それでは応じきれなくなりました。
日本から来た企業にしても、
早くから商標や専売特許の登録をしていないと、
自分たちの会社の名前で
営業をすることさえできなくなります。
コピー商品をつくっている業者を放任しておくと、
コピー商品が事故を起して、
本物が事故を起したように報導されて
思わぬ損害を蒙ったりします。

そういう事実を周辺で
しょっちゅう見聞きするようになったので、
私は弁理士事務所をひらく必要を
痛感するようになりました。
それにしてもどうして日本の弁理士の先生方が
その方面に進出しないのだろうかと
不思議に思っていましたが、
最近になって
中国の弁理士ビジネスの許可条件を調べてみたところ、
この分野の仕事は
中国の知識財産局のお役人さん以外の人を
完全にシャットアウトするように
法律でがっちり堅められていることを発見しました。
資格を持った人が5人以上、
株式会社の場合は10人以上必要で、
且つ兼任はできないといった規定が罷り通っています。
あれでは月給を払うだけで
オフィスはつぶれてしまいます。
部外者や外国人の同業者が
寄りつけないようにできているのです。


←前回記事へ 2006年1月3日(火) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ