中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2149回
成熟社会こそ日本の最大のテーマです

日本の国を特長づける大きな変化の中で、
皆にわかりやすいのは老齢化と国際化です。
寿命が延びると同時に
国民全体の老齢化がすすみ、
右を向いても左を向いても
年寄りだらけになったので、
日本も年寄りの国になってしまったなあと
誰もが感じています。

また国境の壁が崩れおち、
日本人もよく外国に行くようになりましたが、
それに負けずに外国人も
日本に来るようになりました。
それよりも、
外国製品がドッと日本に入ってくる以上に、
外国でつくられた日本製品が
もっとたくさん日本に入ってくるようになったので、
日本人の働く舞台が地球上に拡がったことに
いやでも気がつかざるを得なくなっています。

ところが、そのプロセスで
日本が成熟社会に突入したことについては、
毎日の生活の中で少しずつ起ってきたことなので、
それほどはっきりと意識されていないと思います。
たとえば日本人は金持ちになったのだと言われても、
貧乏だった昨日の続きの生活をしているので、
あまりピンと来ません。
でも富の創造を半世紀も続けてきたおかげで、
気がついたらアメリカに負けない所得水準になったし、
日本のサラリーマンの平均所得は
中国の30倍、インドネシアやミャンマーの
50倍、60倍にもなってしまいました。
よその国に比べたら、
日本は一人一人がかなりのストックを持つ
豊かな国になり、
資本と技術で優位に立つ国になってしまったのです。

その代わり日常生活に必要な物は
大抵充たされるようになったおかげで、
消費者の選択が産業界の在り方を
変えてしまう社会に一変してしまいました。
充たされるために
成長がストップしてしまったのではなくて、
新しい選択によって
新しい進歩がはじまる社会に
突入してしまったのです。
つまり日本にとって最大のテーマは
老齢化や国際化ではなくて、
成熟化した社会は
これからどういう進化の道を
辿るかということです。
本当のところ、日本は世界に先んじて
これからどういう方向に
向うことになるのでしょうか。


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