中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2194回
進出企業のメリットをPRすべきです

後進国への企業進出は
その国に新しい付加価値をもたらす役目を果たしますが、
物事をよく理解しない人は、
地元の同業者を破産させ、
富を奪っていく侵略行為と思いがちです。
私がはじめて日本のメーカーを台湾に連れて行った時も
「我々のお金を稼ぎに来たのか」と言われました。

私は「お金のない人からどうやってお金を稼ぐんだ?」
と反論しました。
「よその国から高い技術とお金を持って
 企業進出をするということは、
 いままでなかったところで新しい富をつくり出して、
 それを土地の人たちと分けあうことです。
 つくりだした富のうち分け前を一番たくさんとるのは
 資本を出した人かも知れませんが、
 お金の儲かる限りその金を持って逃げ出すよりも
 更にもっと多くのお金を持ってきて、
 もっと会社を大きくしようとします。
 元手も出さないで手足を動かすだけで
 お金のもらえる従業員は
 新しい仕事がふえてトクをするだけで
 損をすることはありません。
 また海外からの進出によって
 工場閉鎖に追いこまれるような同業者は
 もともと整理される運命にある立ち遅れた企業じゃないですか」

このことは産業界が成長過程に入ると、
やがて多くの人から理解されるようになりましたが、
同じことがいまの中国でも起っています。
無いところから新しい富を生み出すのが工業で、
社会が大きく発展して多くの人がその恩恵を蒙るのは
いままでになかった新しい富が生み出される証拠です。

そういうことは資本国の政府がもっと積極的にPRすべきことで、
それをやらないだけでなく排他的な態度に出るから
売り言葉に買い言葉というきしみが生ずるのです。
もし政府が横着をきめ込めば、
進出企業が先頭に立ってやっても
もちろん同じ効果はあります。
運動会をやったり、奨学資金出したり、
町のお祭りに寄付したり、やり方は色々でしょうが、
地元に受け入れられることは
すべていい結果をもたらせる呼び水になります。


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