中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2197回
節約疲れがお金の使い道を変えます

日本の社会が量より質で勝負する時代になったことは
どこを見たらわかるかというと、
デパートの食品売場を見たらよくわかります。
少し前までは
デパートで一番お客がたくさん入っていたのは
衣料品売り場で、
デパートの儲け頭も繊維製品でした。
資産インフレで日本国中が好景気を謳うようになると、
高級品売場から美術品売場まで
人だかりがするようになりましたが、
バブルがはじけると共に、
企業のリストラが始まりましたので、
消費者たちが一せいに財布の紐を締めるようになりました。
デパートの中にできていた証券会社のコーナーは
いち早く店じまいをしましたが、
繊維売場からは高級毛皮とか、
高価なファッション製品が姿を消しました。
一番早くから邪魔物扱いを受けたのが紳士服売場で、
2階か3階にあったのが上へ上へと追いあげられ
6階でやっと紳士物売場に辿りつくデパートも
あるようになりました。
いくら紳士服が家計の中で
一番どん尻の支払いアイテムであったとしても、
私はそんな露骨な虐待をするデパートで
自分の着る服の買物はしません。

一時期、10万円以上の紳士服は
デパートの売り場から姿を消し、
5万円以下とか、
ズボンがもう一枚ついて3万円というスーツが
それにとって代わったこともあります。
ケチケチ・ムードが日本国中を支配した間、
もちろん、地下の食品売場も人影はまばらでした。
どうしてかというと、
デパートの食品売場は誰が見ても
スーパーの食品売場より高い物しか売っていなかったのです。
一時期、デパートは大へんなことになるのではないかと
誰もが心配したと思います。

ところがケチケチ・ムードが10年も続くと
節約疲れが出てきます。
払うお金がないわけでもないのに、
こんなに節約したのでは
このまま人生が終わってしまうのではないか、
親不孝息子と税務署にお金を遺して死ぬよりは、
チョッピリでもお金を使ってから死んだ方がいいんじゃないか。
そう考える人がだんだんふえてきたのです。


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