中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2206回
お土産物店にお土産物は売っていない

観光ブームの時代に政府のトップで
角を突きあわせるような姿勢をとったりするので、
中国大陸への日本人観光客はあまり増えておりません。
代わりに台湾では日本人の姿をよく見かけるようになりました。
何でもないことのようですが、
小泉さんもそんなことが起るところまでは
思い及んでいないでしょうね。

でもそんなことはやがてみんな忘れられてしまうことです。
どこの国でも外国人と喧嘩をするポーズをとりたがる人よりは
にっこり笑って受け入れる人の方が
ずっと多くなっているからです。
抗日運動がはじまった時だって、
中国で道を歩いていて
日本人に冷い視線を投げかける人なんか
見かけませんでした。
どう考えても政府の方が遅れていて、
個人の方が国際化の先頭を
一歩先に進んでいるとしか思えません。

ですから私はいまに一年に百万人を越える日本人が
北京を訪ねる日が来るだろうと見ています。
同じように東京に来る中国人も、
人口の多い分だけ、もっとずっと多くなる筈です。
人は旅行をすると、ふだん買物をしない人でも
お土産にする物を買います。
東京でも北京でも
そういう人を相手のお土産屋さんがたくさんありますが、
お土産物を買いたいと思っている人が
買いたくなるようなお土産物は売っていないのですね。
どうしてかというと、どちらも旅行者が
どんなお土産物を買いたがっているのか、
よく研究していないからです。

北京から東京に来た人が何を買っているか見ていると、
ユニクロや百円ショップに入って盛んに買物をしています。
キモノやフジヤマ、ゲイシャの絵など
買っている人は見たことがありません。
一頃は秋葉原で電気製品を買っている人を見かけましたが、
中国で家電製品が猛烈な勢いで普及しはじめたので、
よほどの高級品でなければ、
ふり向く人もいなくなってしまいました。
その意味では上海に店づくりをしたので、
ユニクロに入る中国人のお客もかなり減りました。
だってユニクロの製品は
もともとメイド・イン・チャイナですものね。
どっちにしてもお土産物屋さんに
お土産物を買う人が欲しがる物を売っていないことに
変わりはありません。


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