中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2220回
日本の物差しで中国の消費市場を測るな

世界最大の消費市場を中心とした
高度成長経済ということになると、
人類史上でかって経験したことのないことですから、
過去の経験をあてはめて予想をしても当るとは限りません。
日本の高度成長経済も、
対米輸出を導火線としてスタートしましたが、
それを形にしたのは日本の国内消費市場です。
日本の輸出は一番多い時でもGDPの12%ていどでしたから、
好況も不況も国内消費に大きく左右されました。

中国も国内消費市場に力を入れるとなると、
やがて日本と同じ形になりますが、
日本の十倍も人口の多いところですから、
世界の資源に大きく影響します。
この一、ニ年、中国国内の建設と設備投資が急増しただけで、
世界の石油や石炭や鉄鉱石の価格に大きな変動が起りました。
おかげで、日本の素材メーカーたちが
一ぺんに息を吹きかえしました。
また貨物の動きも急増したので船腹が不足しただけでなく、
運賃の値上がりによって
海運会社が久しぶりに活況を呈しました。
昨年後半からコンテナの需要も一服し、
運賃も下押ししていますが、
中国やインドの消費が上昇を続ければ、
またすぐ持ちなおすだろうと、
業界筋は強氣を捨てていません。

そうなると、資材不足が今後も続くだろうし、
最終消費に至るまでの過程で
大きな付加価値の創造が
今後も続くことが考えられます。
日本と中国では似た面もありますが、
似てもつかない別の動きもあります。
日本には白黒テレビや有線電話の時代が長く続きましたが、
中国はそれをとばして
いきなりカラーテレビと携帯電話が
大へんなスピードで普及し続けています。
それでいてIT関係の上場企業はさっぱりで、
台湾からの進出企業にほとんどのシェアを独占されています。
ですから、いまのレベルで何が次の消費市場でウケに入るのか、
事業に投資する場合も株に投資する場合も
正しい判断を要求されます。
日本の尺度で量ろうとすると、
とんちんかんなことになる心配がかなりあります。


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