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第2228回
成熟社会は21世紀の新しいテーマです

成熟社会とは社会全体が豊かになって、
働く氣になれば、ちゃんと生活ができるようになるし、
働かなくても何とか飢えずにすむ社会のことです。
日本がまだ貧乏国だった時代は
働き口を探すだけでも大へんでした。
ちゃんと仕事をもった人と職を持たない人を
就業者と失業者に分けることができました。
職のある人は貧しくても何とか生活ができましたが、
失業者は職にありつけないために収入がなく、
生活にも困窮する人たちのことでした。

もっとも失業者の中にも
自らの意思で職を求めない人と、
職がないために不本意ながら失業している人があり、
ケインズなどの経済学者は
それを自発的失業と非自発的失業に分類していました。
ところが、ヨーロッパが成熟社会の分類に加わるようになると、
仕事が欲しくとも仕事にありつけない失業者もかなり増えましたが
社会に対する違和感のために
職につかない人たちが次第に目につくようになりました。
これらの人たちは教育(EDUCATION)を受けることも拒否し、
就職すること(EMPLOYMENT)にも氣が向かず、
ほとんど訓練(TRAINING)されてもいないので、
英語で、それぞれの頭文字をとってNOT in E.E.T、
省略してNEET(ニート)と呼ばれています。
こうした現象は資本主義の先進国だった
英国で最っ先に指摘されましたが、
その後の社会現象の一つとして後を追うと、
日本の若者たちの中でもかなり目につくようになりました。
フリーターとも失業者とも言えない新種の非就業者であり、
一説には40万人にものぼるのではないかと指摘されております。

日本も40万にものぼるニートが発生しても、
それらの寄生虫を抱えて生きて行くゆとりを持った
成熟社会の仲間入りをしたということになります。
ほかに5%から10%をこえる失業者と
アルバイトでその日暮らしをやっているフリーターも
何とか食わせているのですから、
成熟社会は21世紀の新しい研究テーマの一つであると
考えていいのではないでしょうか。


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