中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2333回
役人の成り手がいなくなる時代がきます

中国のお役人さんのサラリーは雀の涙ほどです。
私が中国で投資をはじめるべく各地を駈けまわった頃、
大都市の市長さんのサラリーは500元ほどでした。
恐らくいまでもその10倍あるかどうか。
私が台湾から派遣した進出企業のマネージャーでも
2万元は払っていましたから、
役人が如何に薄給かわかります。
薄給ですけれども、権限は大きく、
また住むところも官舎だし、
車も運転手もお手伝いさんもすべて官給ですから、
生活に不自由することはありません。
一生懸命働く人なら、これだけの条件が揃えば、
大きな仕事をやって成果をあげることができます。

でも、経済が発展段階に入って脱サラに成功した連中が
忽ち何百万元、何千万元ものお金を儲けて高級住宅街に住み、
高級車を乗りまわすようになると、目がくらんでしまいます。
そうした俄か成金たちは新しい事業の許可をもらったり、
土地の払い下げを受けるために近づいてきます、
その便宜を図ってやろうとすれば、
汚職の世界に一歩近づきます。

中国は汚職まみれと言われていますが、
困ったことに汚職で国は滅びません。
役人がやっていることは人民の財産をかすめとることではなくて、
政府の土地を安く払い下げたり、税金を負けてやったり、
いずれも政府の財産を横取りするだけだからです。
ですから人民は直接の被害者ではありません。
何千年来、それに似たことを続けてきたのですから、
中国の人たちは馴れっこになっているのです。

でもそれが通用しない新しい時代がはじまろうとしています。
昨今は人民元よりも同じ役所の中で上司は下っ葉を、
下っ葉は上司を監視し続けています。
袖の下をもらうのも
そうした監視の目をくぐらなければなりませんから
容易なことではありません。
そのうちに自分の才能に自信のある人は、
役人になりたがらなくなります。
これもまた困ったことですが、その分、
経済の発展に拍車がかかることになります。
政府は必然的に変わらざるを得なくなるのです。


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