中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2355回
日本の常識で中国の株価を判断するな

成長株を探がす場合、
業種に気をつけることも大切です。
しかし、それより大切なことは成長業種であっても、
その企業が業界のどういう位置にいるかを確かめることです。

たとえば、自動車と言えば、
誰でも成長業種の先頭に立っている業種だと考えます。
でも成長業種だけに参入するメーカーもたくさんあって、
どのメーカーが最終的にチャンピオンになるのか
全く見当がつきません。
最終的にチャンピオンになる会社だとしても
さんざん競争をしかけられるので、へとへとになってしまいます。

また人間は自分の常識をもとにして物事を判断しますから、
常識に禍いされることがよくあります。
日本は有線電話のあとに携帯電話が普及しましたが、
中国では有線電話が普及する前に携帯電話の普及がはじまり、
むしろ有線電話がその後を追いかけています。
自分たちの常識だけで判断すると、
間違った結論を導き出すことになります。

たとえば、日本人の頭の中に
都市ガスが成長産業だという考え方など全くありません。
家を建てると、電気とガスも同時に設備するのが常識だからです。
ところが、中国では電力の普及だけが先行して、
ガスはプロパンで間にあわせてきました。
天然ガスの供給が遅れたこともありますが、
国民所得が向上し、生活が豊かになると、
ご飯を半分炊きかけて燃料が切れるのを
ジッとガマンしてはおられなくなります。
たまたまそういう時期に
新疆の向うから天然ガスのパイプがひかれたり、
船に載せてオーストラリアから
天然ガスが運ばれてくるようになりました。
そこへ政府の奨励策も手伝って
大都市の都市ガス化が急速にすすむ時期に入りました。

北京ではことしになって都市ガスの使用者が300万戸にふえ、
家庭でのプロパンの供給は廃止することにきまりました。
その北京で都市ガスの供給をしている
新奥燃気という会社の株価は7ドルあまりもしています。
それに対して同じような業績をあげている鄭州ガスや
新海能源はまだ1ドルにも達していないのです。


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2006年8月21日(月)

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