中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2450回
ミラノが温州に移ったわけがわかりました

最近の中国経済の大発展を、
そのインサイド・ストーリーに立入って書いた
元フィナンシャル・タイムズ北京支局長だった
ジェームズ・キングの「中国が世界をメチャクチャにする」
(原作は「中国は世界をゆさぶる」で、
日本語訳のタイトルがメチャクチャなのです)は
名もなき脱サラ出身の一中国人企業家がドイツに行って
熔鉱炉の火を消したドイツの製鋼所の設備一式を
そっくり買いに行くところからはじまりますが、
製鉄はもちろんのこと、オートバイから自動車のエンジン、
更にまた温州がどうしてヨーロッパの服装産業を征服して行ったか、
さては石油資源を確保するために
アフリカから中南米までどういう作戦に出ているのか、
現地まで乗り込んで当事者たちにインタビューをしています。
日本からの特派員で日本の対中援助資金が
如何に無意味な使われ方をしているかを報道している人はいても、
ホンダのオートバイのコピーをして
話題になった中国企業のオーナーが
実は本田宗一郎さんの崇拝者であったことを
本人に会ってきいてきた人は一人もおりません。
日本人がどんなに排撃の対象になっているかを
報道する人はあっても、
日本の技術や日本の芸能人がどんな歓迎のされ方をしているか、
報道しているのも見たこともありません。

「ローマは一日にしてならず」と言いますが、
温州だって一日にして
ミラノに代わるヨーロッパのファッション・メーカーたちの
OEM基地になったわけではありません。
イタリアにプラートという古い繊維加工の町があって
そこへ密入国をして1日15時間、週6日働いて、
つまりイタリア人の半分の給料でイタリア人の倍働くところに
温州人が出稼ぎに行ったのです。
働いているうちに仕事を覚えて、
貯めたお金で自分たちの働いていたところの店を買いとって、
イタリア人と同じ商売をはじめたのです。
人口15万の町に中国人が2万人も働きに来ていたのです。
やがてそんなことをイタリアでやっているよりも、
出身地でやる方が安上がりで都合がいいことがわかって
生産基地が次々と温州に移ることになったのです。
そういうことがこの本を読んではじめて
私にもなぜ温州が中国のミラノになったのか
納得できました。


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2006年11月24日(金)

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