中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2459回
成長株の苗床は海外に大移動

大衆心理に基いて皆が買いたくなる時に株を買い、
皆が投げ売りをしたくなった時に投げ売りをしたら、
必らず損をします。
ならば株をやる人がいなくなってしまう筈です。
それがそうならないで、
ピンチをくぐり抜けて景気が回復してくると、
株をやる人もふえるし、
株の話がまたジャーナリズムを賑わします。

それは先ず第一に群集心理として、
自分の買値を割ると途端に売らなくなる投資家が多いからです。
大衆投資家の持っている株は浮動株に数えられていますが、
買値を割ると途端に安定株主に豹変します。
それと言うのも経済が成長している限り、
経済というパイは大きくなって行く方向にあり、
一次的に不況によって縮小しても、
しばらくするとまたふくれる方向に戻ることを
くりかえしてきたからです。

バブルがはじけてからは、なかなか元へ戻らなくなったので、
証券界も長い間、鳴かず飛ばずの時代が続きました。
昨年から今年にかけては
中国の経済成長による資源不足が
日本の基礎産業にも影響を及ぼし、
産業界が活気づいたので
石油の値上がりによるあぶく銭が
海外から日本の証券市場に流れ込み、
思いもかけない株式ブームになりましたが、
日本の消費市場に灯がともったわけではありません。
したがってもうしばらくすると、
また元の低成長に逆戻りするというのが私の見方です。

それに比べると、
中国はこれから本格的な消費経済がはじまるので、
パイのふくらむのは日本経済ではなくて
中国経済と見た方が真相に近いでしょう。
かつてパイが縮んでも、しばらくすると
またパイがふくらむことをくりかえしてきたので、
日本株の高値をつかんだ人も息をつくことができました。
しかし、ことしの春から夏にかけて高値づかみをした人は
待てど暮らせどということになる可能性が大です。
老齢化した株を成長株に乗りかえる必要が起ります。
但し、成長株の苗床は
残念ながら海外に移ってしまいましたので、
頭の切りかえにかなり時間がかかるのではないでしょうか。


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2006年12月3日(日)

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