中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2502回
電力株にも甲乙丙の区別があります

電力株について言いますと、
中国の工業地帯はどこも電力不足で、
週に何日か送電停止ということも珍しくありませんでした。
工場が送電停止では話になりません。
その一方で大都市はクーラーを取りつける人がふえて
電力需要が急増する一方でしたから、
電力会社がいくら増設しても
電力事情が好転しそうにない情勢が続きました。

実はその時が電力株の黄金時代だったことはあとになって
思い知ることですが、
ブームの只中におかれている時は誰もそうは思いません。
私も常識にしたがって、
電力株は上海B株の浙江東南電と、
深圳B株の南山熱電と広東電力の3つを仕入れましたが、
全盛期がすぎて見ると、
石油を焚いて発電しているところと
石炭を焚いて発電しているところでは採算がまるで違い、
どうして南山熱電があれだけ利益をあげていたのに
一転して無配になったのか、
びっくりしてちょっと調べて見ると、
他の電力会社の発電が石炭を焚いていたのに比して
南山熱電が石油を使っていたために、
石油の暴騰によって
赤字に見舞われたのだということがわかったのです。
景気のいい時は電力会社は皆、
同じだと気にもかけなかったことが同じ電力会社でも
これだけひらきができるのだということを
改めて悟ったのです。

恐らく電力会社も最悪のところは通りすぎたので、
資源不足が一応落着いたところで若干、
戻り足になるでしょうが、
業績の快復は会社によってかなりのひらきがある筈です。
いまの中国の株式資料には
そういうところまで解説したものがありませんが、
逆に業績の快復のスピードの早い会社と
遅い会社のおかれている困難の大きさを教えてくれます。
同じ電力株の安値を拾うにしても、
ましてや長期にわたって配当をもらう心積りの場合は
特にこの間の違いをちゃんと心得ておく必要があります。
電力にしても都市ガスにしても、
あるいは石炭や有色金属の鉱山でも好決算をもたらす会社と
そうでない会社の違いが今後の株価を左右しますから
慎重に業績の推移を比較検討して見る必要があることを
どうぞお忘れなく。


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2007年1月15日(月)

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