中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2584回
避けられそうもない日本の二の舞い

いま中国では物凄い勢いで外貨がふえています。
中国の輸出が一方的にふえているのに、
中国政府が人民元の切り上げ要求に応ぜず、
いわゆるダーティ・フローティングで
為替相場を元安に操作しているからですが、
頑なにそれを維持し続けると、
猛烈な過剰流動性に見舞われて、
資産インフレが避けられなくなります。

このままいまの政策に固執し続けると、
たとえば1ドル8元で人民銀行が買い入れた外貨に
1ドル7元とか6元の値打ちしかなくなってしまいますから、
人民銀行は大きな目減りに見舞われます。
その一方でインフレが進みますから、
輸出が困難になるだけでなく生活費も上昇します。
実際にはその過程で賃上げもありますから、
生活が苦しくなることにはなりませんが、
資産が値上がりするために所得の格差が一段とすすみます。

でもそうしたバブルに一歩も二歩も近づく経験をした中国人も
ほとんどいませんし、
政策担当者もいませんので、
黒字をふやすチャンスを捨て切れず、
いよいよニッチもサッチも行かなくなるまで、
いまの政策を続けることになることは
避けられそうもありません。

昨今、中国のジャーナリズムに現われる
専門家たちの論調を見る限り、
過剰流動性は世界を動きまわる過剰流動資金がもたらすもので、
一国だけで対応することは不可能に近いと
あきらめてかかっています。
過剰流動性は外貨の洪水がもたらすものだから、
外国の資金がもたらすもので、有効な対応策はない、
自分たちにできることは精々、金利を上げるか、
不動産所得に課税するか、
でなければ外国人による不動産投資を禁止することだと
最初から匙を投げているのです。
貿易黒字は野放しにしておいて、金利だけをあまり上げすぎると、
産業界に悪影響をあたえるし、
もう一方の投機資金の流入は
もともと自由化されていないのですから、
これから何が起るかは凡そ見当がつくのではないでしょうか。
多少の違いはあるでしょうが、
日本の二の舞いになることは避けられそうもないようです。


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2007年4月7日(土)

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