中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2586回
中国の不動産にはこんなに陥し穴が

もし私が指摘してきたように、
中国でも日本で起ったような
過剰流動性による資産インフレが不可避だとすれば、
中国の大都市で不動産投資をやれば、
充分に酬いられると考えてよい筈です。
いま既に嗅覚的にそういう動きをかぎつけ、
そういう布石をしている人も当然いると思われます。

私自身そういう考え方をして、15年も前から先回りをして、
北京、上海、成都、天津などあちこちで
次から次へと不動産投資に力を入れてきました。
それが正しい布石のやり方だったのか、ふりかえって見ると、
間違いだらけだったと反省させられることばかりです。
中国の不動産投資には
私たち他所者には想像もできない陥し穴がいくつもあって、
それをうまく避けてくぐり抜けることは
ラクダが針の穴をうまくくぐり抜けるより
もっと至難な業です。

先ず必らず工期が遅れます。
次に当初の予算を必らずオーバーします。
私の北京のマンションは
5千万ドルの予算でスタートしましたが、
実際には8千万ドル(約100億円)もかかり、
しかも工事は1年も遅れました。
そして、必らず手抜き工事で痛い目にあわされます。
中国にはゼネコンというのがありませんから
自分でゼネコンをやらなければならないのです。

施工業者に誤魔化されないために、
工事屋の監督をやといます。
すると、工事屋が監督をうまくまるめ込むか、
監督が工事屋からリベートを要求して
必らずグルになりますので、
監督を監督するもう一組の身内の監督を
やとわなければなりません。
そうして二重三重に経費をかけてやっと完成した建物は
自分で管理できませんから、プロのビル管理会社に委託します。
こちらがプロでないと、高い管理費を要求されますが、
その上、ちょっとでも油断すると、
掃除や補修が乱雑になってたちまち老朽化がすすみます。
しかも隣り同志で似たような建物を建てて競争をしますので、
不動産が値上がりするどころか、半値以下に値下がりして、
どちらかが夜逃げをして
残された方もその後遺症に悩まされるのです。


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2007年4月9日(月)

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