中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2702回
日本人にできる仕事を探がせ

中国の経済発展に伴う長所や欠点を知りたかったら、
先ず上海に行くことです。
上海を見れば、中国で何が中国人の得意とするところで、
何が中国人の不足するところか、
また、日本人がやって来てやれそうな仕事が何か
ということがわかります。

私が十数年前、上海にやってきて最っ先にやった仕事は
浦東にビルを建てることでした。
当時の浦東はいまのビルの大群の林立する近代都市ではなく、
古い工場とボロ家のまばらに建つ郊外の寒村地帯でした。
ここにアジアのマンハッタンをつくるというので、
私もその一端を荷負う気になって26階建のビルを建てました。
私が計画を建てた時、新ビルの一日の家賃は1平米2ドルでした。
ところがビルが完成した時は
何と20セントまで下がってしまいました。
計画経済というけれど、計画のないのが計画経済で、
ビルの需要がどのくらいあるかを無視して、
土地を借りたい人が名乗り出たら、
金儲けをするチャンスとばかりにいくらでもビルを建てさせたので
借手がないのに、高層ビルが2百棟も建ってしまったのです。
そういうこともあり得ると考えて、金ぐりをしていたので
私は夜逃げをしないですみましたが、
一歩間違えると新聞ダネになるところでした。

それがどうでしょう。
いまや私たちのビルは90何%の稼働率で、
一ぺん入ったテナントは滅多に出て行きません。
ではビルを建てる事業は儲かる事業かというと、
ビルを建てたり不動産を売ったりする仕事は
中国人の最も得意とする分野ですから
日本人の割り込む余地は全くありません。
日本のゼネコンも日本のマンション業者も、
中国人に対抗できる業者は只の一社もないのを見てもわかります。
これを見ても日本人にやれる分野とそうでない分野が
はっきりわかれていることがわかります。
上海ひとつ見ても日本人にできる仕事というよりも、
日本人でないとできない仕事が結構たくさんありますから、
選び方を間違えないことが大切です。


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2007年8月3日(金)

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