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第2718回
お役所はいまや失業地獄の安全地帯

いまの日本は中流指向の国から
貧富の差の拡大する格差社会に移りつつあると
しきりに言われています。
ではどんな人が金持になったのかというと、
高額所得者番付の中で、
不動産を売ってその年だけ長者になった人は除いて、
年収1億円以上の人を集計すると、
過半数が自営業者で、あとはお医者さんと、
大企業のサラリーマン経営者と、
そして天下り高級役人と言ったところに落着きます。
格差がついたと言っても、
アメリカや逆に低開発国や
石油王国の突出した金持ちたちとは比べ物にはなりません。
日本は依然として中流指向の国であり、
中流のまま物づくりの国から物づくりの仕事を失って、
金づくりの国、つまり小物資本家の国に
大移動をはじめたところというのが実態ではないでしょうか。

ただ高額所得者の大半が自営の経営者ということになると、
役人になって天下りが可能な地位につく人は
一握りしかありませんから
戦争直後のように一流大学を出て役人を志望する人は
うんと少くなってしまいました。
いまの政府機関は一流の就職先ではなくて、
会社が潰れて給料がもらえなくなる心配のない
安全地帯のついた就職先ですから、
安全第一を考える小心者の天国になってしまったのです。
現に役所の仕事と言っても、積極的な国策ではなくて、
事故を起さないようなスベリ止めが主な仕事ですから、
衆にすぐれた人材を必要としなくなっているのです。
国を代表する政治家でさえ世襲制で間に合っているのですから、
役所が失業地獄におちこまないための
安全地帯として利用されたとしても何の不思議もありません。

問題は財政収入の破綻によって、
はたして役所が安全地帯としての役割を
いつまで続けられるかということです。
現に地方自治体の財政困難が次々と表面化しています。
私の「官僚興国論」は昔の夢また夢と化して、
「失業地獄の安全地帯」としての役割はかなり怪しくなっています。
そんなこと考えて見たことありますか。


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2007年8月19日(日)

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