中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2730回
アメリカのクシャミなんか気にしない

アメリカがゴホンとやると、
世界中が風邪をひきます。
そういう姿勢がずっと続いてきたので、
いまでもニューヨークの株が暴落すると、
世界中がそれに右へならえをします。
敏感な人になると、
風声鶴唳だけで、
持っている中国株の投げ売りをしたりします。

しかし、
世界中のお金の流れはこの30年でかなり大きく方向を変えて、
アメリカの動きの影響が弱まっています。
アメリカは依然として世界一の金持ちの国で、
その消費の動向が世界の景気を左右しますが、
ユーロ圏はユーロの為替レートを見てもわかるように、
別天地を築く方向に動いています。
また中国はアメリカに対する最大の黒字国になりましたが、
あと数年で日本を追越して
アメリカと並ぶ一大消費国にのしあがります。
となると、
ニューヨーク市場の影響を1番大きく受けるのは
ヨーロッパや中国ではなくて日本だけということになって、
日本の株がニューヨークに連動するだけでなく、
ドルが下がっても円高にならずに、
運命を共にするような動きになることも考えられます。
アメリカから難題を持ち込まれるのは日本だけになって、
しかもアメリカから軽くあしらわれる可能性が既に出てきています。
そういうことに対しても
さして危機意識を抱かないところを見ると、
日本人は泰平の夢を少し長く見すぎたのでしょうか。

それに比べて中国はここのところずっと
アメリカに対する輸出が多すぎると批難されているわけですから、
アメリカの不況によって輸出が減れば丁度いいと
どちらもホッとする立場にあります。
したがって何回か
つれ安のつきあいをしているうちに、
ニューヨーク株に対してだんだん不感症になる立場にあります。
世界が1つになって行く動きから
次は3つの地域に分かれる方向に動きはじめたところですから、
株式市場も間もなく
いままでとは違う動きになると見ていいのではありませんか。
そのうちに中国のクシャミの方が大きな音を立てるようになります。
アメリカのクシャミなんか気にしない、気にしない。


←前回記事へ

2007年8月31日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ