中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2764回
中国の製薬会社に新薬はまだ無理です

山東羅欣と東瑞製薬と二つ並べて
その業績と株価に気をつけるようになってから、
私は中国では研究と販売では販売力の方が
株価を大きく左右することに気がつきました。
何しろ世界的な新薬を一つ開発するには
10億ドルからの資金がかかると言われています。
それだけの資金と研究所を持った製薬会社は
いまの中国にはまだ一社もありません。
西洋医学の製薬会社はまだはじまったばかりで、
大抵はパテントの切れた特効薬のコピーをしているだけです。

それでも製薬会社はどんなやり方をしているのか知るために、
東江環保を訪問した折りに、
珠海の麗珠医薬という上場会社まで足を伸ばしたことがあります。
タケダやエーザイの工場を見たことのある私の目には
「なあんだ、こんなものか」という印象の方が強かったけれど、
あの時、3ドル足らずだった麗珠の株価は
現在、何と17ドルになっています。
ですから日本の会社を見る目で中国の会社を見たら
判断を誤まることになります。

バイタル・バイオテックと日本人の間で呼ばれている
維奥生物という製薬会社は売上げの90%を
「樂力」というカルシウム剤に依存していますが、
年に資本金に相当するだけの収益をあげているし、
また内部留保だけでも資本金の30倍あります。
そうした堅実な資産内容を買われて、
かつて1株1ドル以上まで買われたことがありましたが、
その後、人気離散して0.25セントあたりを
ウロチョロするようになりました。
研究室までつくって新薬の研究をしていたのを
いくらやってもお金を使うばかりで
成果があがらないことに業を煮やして
昨年遂に研究室を整理して
専ら販売に精を出す方向に転換しました。
そうしたら俄かに財務内容が改善されて
2006年度は利益が前年比74%も伸び、
ことしになってもその勢いは続いています。
この方向転換をどう評価するかによって
投資の対象になるかどうかが決まります。
そう考えて5月に九塞溝の観光に行った折りに、
成都にある同社を訪問したのです。


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2007年10月4日(木)

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