中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2799回
成金がコンプレックスを味わいに来る所

ドバイで帆掛け舟の形をしたホテルで泊った部屋は
1泊に65万かかりました。
扉をあけて中に入ると、2階づくりになっていて、
部屋がバカでかくて
どの部屋もアラビアン・ナイトにでも出てきそうな
金ぴかの宮殿づくり。
正面に背の高い応接セットが並んでいますが、
向って右が広い応接室、
次の間がバーと大きな食堂になっていて、
その奥にキッチンとトイレがあります。
向って左はツインのベッド・ルームですが、
ザッと50畳はあるでしょうか。
その左手に化粧室とバスルームがあって、どちらも20畳以上、
化粧室には洋服ダンスが3つ、
バスルームには丸い大きなバスタブと
キンキラキンのタイル絵が壁になったシャワー・ルームがあり、
洗面器は2つ並んでいて、
普通の一流ホテルと違うのは、
ヨーロッパで一流ブランドの化粧品や洗面道具が
ズラリと並んでいて、
なかでもエルメスのローション類が1番目を引くことです。

また玄関のすぐ右に2階へ上がる階段があって、
2階も同じスペースに2部屋のベッド・ルームがあるので
1部屋がどのくらいの広さか、およその想像がつきます。
それがすべてキンキラキンにデザインされているので、
アラビアの王様の宮殿に招待されたようで、
私のような小じんまりした部屋でないと落着かない人間には
オイソレとは馴染めません。

ベッドの中に入って天井を眺めながら、
こんな豪華なホテルは何のためにつくられたのか、
あれこれ考えているうちに、
これは世界中の成金に
コンプレックスを味わわせるために建てられたホテルではないか
と思い当たりました。
自分はちょっとしたお金持ちになったと思っている人たちが
ここへ来ると、とてもまだまだという気持ちになります。
何しろ高い宿賃を払っていますから、
ふだんならホテルの化粧品など見向きもしない人でも、
ズラリと並んだエルメスの化粧品を
そのまま置いて帰るほど鷹揚な気持ちにはなりきれません。
エルメスなんか目もくれないようにならないと、
王様の仲間入りはできないのです。
そういう目にあわされるところですから、
興味本位で1回は来ても、2回来る人はいないでしょうね。


←前回記事へ

2007年11月8日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ