中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2806
来年は中国より日本の方が心配

石油が80ドル台の高値をつけたので、
OPECが僅かながらも増産の決議をしたら、
それに油を注ぐような形で、
石油は逆に一段と高値をつけています。
この調子ならすぐにも100ドル台に乗って、
インフレが更に進み、世界中が一段と不況になるのではないか
と心配する論調がふえています。

サブプライム・ローンの影響を受けて金融資本の損害が拡大し、
アメリカの景気が下降線を辿ることは
恐らくは避けられないでしょうから、
このまま石油がさらに値上がりすることは考えにくいし、
アメリカの輸入が下向くことによって
中国の輸出産業がかなり影響を受けるとすれば、
それが中国の物価にも株価にも反映されて、
強気一点張りの動きに修正が起ることも
あり得る環境になりました。

したがって、石油だけでなく、
石炭や鉄鉱やその他の資源株や素材株も需要が一服して
減収減益になる可能性が出てきたし、
自動車や家電製品や電力や輸送関係も、
減収減益に落ち込む心配が濃厚になっています。
そうなると、本年度の業績は7割方、
上昇の方向にあるとしても、
来年度は減収減益に見舞われることが考えられます。
とりわけ銀行は正式に発表されていませんが、
外貨の運用で大なり小なり被害を受けている筈だし、
その上、預貸率をあげさせられたり、
貸出しについていちいち政府から干渉されることになると、
利益が増資に追いつかなくなって
利回りが悪化することも考えられます。

そうした利益率の悪化が表面に出てくるまでに
まだ恐らく半期から1期はあるでしょうから、
まだ当分は過剰流動性による
株価や不動産の乱高下が続くでしょうが、
世界的な不況と人民元の切上げによる
輸出産業のピンチが重なる場面があると、
強気一点張りというわけには行かなくなります。
成長の続く中国でもそうですから、
不況とインフレの挟み討ちにあう日本は
黄信号くらいではすまなくなるのではないでしょうか。





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2007年11月15日(木)

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