中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2825回
日本の証券市場これでいいのか

いまのような調子で、日本人がドルを稼いで、
そのドルを銀行や証券会社を通じてアメリカに持って行って、
アメリカの投信や投資会社に投資もしくは融資をすれば、
アメリカの金融資本は日本に利息を払いながら、
そのお金で日本の株や不動産に投資します。
もちろん、他に格好の投資対象があれば、
そちらにもお金が回りますが、
サブプライム・ローンで一敗地にまみれて、
投機資金の行き先がなくなりますから、
いよいよ日本や韓国や台湾など
アジアの先進国に投機資金が集中することになります。

アメリカが物づくりから手をひいて、
金で金を生む金融事業に打ち込むようになってから
既に30年の歳月がたちますが、
それが如何に巨大なものであるかは、
サブプライム・ローンの失敗がアメリカの金融機関に
如何に大きな損害をもたらしているかを見ればわかります。
発表された数字は氷山の一角で、やがて少しずつ表面化すれば、
アメリカの景気に及ぼす影響はかなり深刻なものになる筈です。
しかし、アメリカの金融資本は
これまでやってきた事業の延長線上でしか
やれる仕事はありませんから、
かつて自国内でやってきたのと同じ事業を
場所を変えて次はアジアで展開することになります。
既にそれは日本のバブルがはじけた
14、5年前からはじまっており、
気がつけば、東京株式市場の取引の
過半数を占めるまでになってしまったのです。
東京でも先ず彼等が狙いを定めた銘柄が動き、
それを見て日本の個人株主たちが後を追う
証券市場になってしまったのです。

日本国中の上場株が買占めを警戒して、
持株会社に組織変えをするようになったのを見てもわかります。
前後して株の買占めを罪悪視する気風も消えてしまいました。
おかげでどこの上場会社も防衛一本槍で、
積極経営どころの騒ぎではありません。
投資家たちが日本の株を見捨てる時代がやって来たとしても
不思議でない悪い環境だと思いませんか。


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2007年12月4日(火)

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