中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2970
いまは資産インフレの第一次調整期です

ではサブプライム・ローンに端を発した大地震の
震源地であるアメリカの株式の反落が20%にすぎないのに、
さして関係のない中国株の暴落が50%に及んだのはなぜかというと、
それは中国人が外貨の大量流入によって
持ちつけないお金を持つようになったことと、
株の知識のない多くの人が
そのお金をドッと株に注ぎ込んだ反動が来たということに尽きます。

今回のサブプライム・ローンのこげつきが表面化する前に、
世界的株安のきっかけをつくったのは、
ニューヨークでも、日本でもなく、
上海のA株市場だったことはまだ記憶に新しいことです。
これまで大暴落の起ったのは
ブラック・マンデイと言うように、
大抵が資本主義の本家本元からスタートしていますが、
今回に限って中国が先行指標になったので、
びっくりした人が多いと思います。

でもこれは中国の内部事情によるものであって、
中国の保有外貨が1兆5千億ドルに達したことによる
人民元の大洪水がもたらした資産インフレの一端であって、
サブプライム・ローンとは直接、関係ありません。
庶民の懐の中にまでお金が溢れるようになれば、
そのお金を使って物も買いますが、
それ以上にお金をふやすことも考えます。
何しろ株式売買の口座が1億口を超えたと報道されていますし、
工場では
株をやるための休憩時間を設けたところも少くありませんから、
一大株式ブームがはじまったのです。
しかも株式投資の経験が全くなく、
株の知識もろくにない人が
耳にした材料でドッと株式市場に押し寄せれば、
その反動が来ることは目に見えています。

中国株はあッという間に5倍もあがり、
次に来るのはその反動ですから、
政府がちょっと軽く手をふれただけでも
積木の山が崩れてしまいます。
それは世界的な株の大暴落とはさして関係がないばかりでなく、
中国経済の実態を反映すらしていません。
皆さんが毎日ごらんになっているように
連日発表されている上場企業の2007年度の決算は
悪いどころか立派なものが続々と続いています。
それでも下げる株は下げるのです。


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2008年4月27日(日)

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