中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3156回
資源株はこれからも投機の対象に

日本人は金さえあれば、
どんな資源でも手に入ることを実地に経験しているので、
石油が100ドルになろうと、150ドルになろうと
さしてあわてません。
事実、ブラジルで鉄鉱石を掘っている業者も、
オーストラリアで羊を飼っている牧場も、
日本の鉄鋼メーカーや
毛織物メーカーの顔色を見て仕事をやってきたので、
政治力に左右されて石油を満載したタンカーがどこの国に向おうと、
もっと高いお金を積めば、
タンカーの動いて行く方向を変えることができます。
ですから日本人が悠長に構えておられるのも、
間違いだと言うことはできません。

でもかつての後進国が新興国に衣替えをして
資源の大消費国になると、
資源が万年不足になり、
値上がりを止められなくなることも事実です。
石油や天然ガスがその先頭に立っていますが、
鉄鉱や石炭やアルミや、さてはレアメタルに至るまで
安定した供給先を確保しておかないと大へんなことになります。
そのへんの認識については新興国である中国の方が
工業先進国である日本より切実なことは首肯けることであります。

もちろん、日本の石油業者や鉄鋼メーカーが
自分たちの大量に使う原料の供給に
全く無関心ということはないでしょう。
でも日本人は政治的な掛け引きが上手だとはお世辞にも言えないし、
川上から川下まで一貫して展開することに目の届く方でもないので、
たとえはオイル・サンドからどうやって石油を抽出するとか、
石炭の品質改善に技術協力をするとか、
付加価値をつける分野に投資することが考えられます。
結局、人間は自分に納得できることしかやれませんから、
同じ資源の確保でも
日本人と中国人ではやり方が違うことになります。
それでも資源に対する関心は過去半世紀とは一変しますから、
資源株に対する投資家の関心は強くなる一方だと見るべきでしょう。
とりわけ資源株は産業界の景気不景気に大きく左右されますから
今後も投機の対象になることは避けられないことも事実です。


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2008年10月30日(木)

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