中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3185回
2000年に総統に当選したことが仇に

2年間ご無沙汰していたゴルフクラブの会員たちに
久しぶりにスピーチをしたのですが、
皆私が何を喋るかに期待しているので、
通り一ぺんの挨拶ですませるわけには行きません。
そこで最近、台湾の人たちの
身のまわりに起った3つのことをとりあげて
私の感想を述べました。
先ず第一は陳水扁前総統が遂に汚職嫌疑で逮捕されたことです。
第二に大陸と台湾間の交流について大陸側の最高責任者である
陳雲林氏が11月3日にはじめて台湾を訪問したことです。
そして最後が世界的金融不安が台湾にあたえた
衝撃と将来の見通しについてです。

陳水扁前総統の疑惑については
私も2、3年前から気づいていました。
9年前、台北市長選に破れた陳水扁は
2000年の総統選挙に出馬する少し前に
私の台北のオフィスに訪ねてきたことがあります。
私は「2000年の選挙には出るな。
出ても当選の見込みは低いし、タイミングもよくない。
もう4年待って2004年なら当選見込みがうんと高くなるし、
その時点で大陸が嫌がる難題を次々と打ち出しなさい。
台湾側が何でもハイハイと言うことをきくと、
組みやすしとばかりにバカにされるが、
手ごわい相手となれば、
向こうも一目も二目もおいてくれるから」
とアドバイスしました。
「そうおっしゃっても選挙に出る出ないは私が
ひとりで決められることではありません」
と本人は弁解していましたが、心の中で恐らく、
自分でも当選するとは思っていなかったでしょう。
ちょうど国民党が2つに割れて
票が分散したために、陳水扁に思いもかけず、
お鉢がまわってきたのです。

2004年になってからであれば、
恐らく汚職をやれるだけの古狸になっていなかったでしょうが、
権力の座について4年もたつと、
国家の機密費のつまみ食いをすることから、
国家的なプロジェクトの仕事の配分で
リベートをとることまでベテランになって
検察当局から4つの大罪で嫌疑をかけられ
遂に前総統の逮捕という
未曾有のスキャンダルの主役になってしまったのです。


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2008年11月28日(金)

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