中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3193回
韓国についでアメリカ資本に殴られた台湾

アメリカにはじまった金融不安は日本の国に円高をもたらして、
トヨタやホンダやソニーやキャノンを不安におとし入れていますが、
韓国や台湾には通貨安と産業界に、
日本とは逆の不安をもたらしています。
ウォンも元も通貨が安くなると、
原料の輸入が割高になって製品のコストにひびくので、
それが輸出を悪化させ、
世界的な不況に対応できなくなるのです。
その上、10年前の不況から以後、
国内の企業や不動産の買い占めにまわっていた
アメリカの金融資本が本国の金ぐりに追われて
現地株や不動産の叩き売りに走るので、
株も下がれば不動産も下がり、
資本を引きあげられて
銀行も企業も金ぐりに追われるようになりました。
銀行株は軒並み額面を割っているし、
そのあおりを喰って産業界も沈滞し、物も売れなくなって、
商店街はピンチにおちいっています。

香港のように米ドル預金の多いところでは
民間人もアメリカの投信や債券で被害を受けていますが、
台湾では銀行が
この数年にアメリカ金融資本の軍門に降っていますから、
アメリカの金融不安の荒波をまともに受けています。
ですから地元銀行も軒並み大へんな目にあっていますが、
台湾経済を支えてきた半導体関係が業界全体が飽和点に達したのと、
アメリカのIT産業の不況の影響をまともに受けて、
莫大な損失を計上する環境におかれています。

その結果は、台湾経済の中国依存度をますます大きくしているし、
かつての香港がそうであったように、
大陸からの買物客や観光客を広く受け入れることによって
起死回生の道をひらくよりほかない立場に追い込まれています。
そうなると、
島内が反大陸ムードと産業界の中国依存経済に大きく二分されて、
台湾はかつてないほどまとまりのない混乱した環境になっています。
恐らく台湾の大半の企業はいままで以上に大陸依存に傾き、
お金儲けは大陸でやることになるでしょう。
台湾は個人だけでなく
企業ごと大陸に出稼ぎに行く時代がはじまると私は見ています。


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2008年12月6日(土)

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