中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3221回
先進国のコピーは一巻の終わり

北京オリンピックを境として
新しい時代がはじまると私が言ったのは、
国際的に見れば「アジアの時代」がはじまると言うことですが、
中国の経済だけに限って見ても、
オリンピックの前と一山越えて展開される中国の経済活動は
かなり違ったものになると私は見ています。

私がはじめて北京に乗りこんだのは
1988年ですから、ちょうど20年の歳月がたちました。
20年前の北京を頭に浮べると、
たった20年でどんな変化があったか、
信じられないようなことが次から次へと起っています。
一番大きな変化はもちろん、経済のすざましい発展です。
政府の姿勢も、人々の物の考え方も大きく変わりましたが、
それらは皆、経済的な成功によって
豊かになったことがもたらしたものです。
そして、何が豊かさをもたらしたかというと、
工業化に成功して新しい富が生み出されたからです。

そのきっかけをつくったのはケ小平であり、
そのスタートは4つの経済特区で
工業化の実験に成功したからですが、
ではこの20年間に何をやったかというと、
先進国がやった工業化をそっくりコピーして
いままでに考えられなかった
新しい富をつくり出すことができたからです。
そのためには外資の導入にも広く門戸をひらいたし、
また香港や台湾やその他全世界に住んでいる
華僑の協力が不可欠でした。
その他の中進国や後進国にできなかったことを
率先して成功させたのですから、
中国人にそれだけの資質があったことに間違いありません。

それだけでも中国人の所得を一挙に10倍にしたし、
中国に1兆5000億ドルもの外貨準備をもたらしましたが、
これがこのまま続くわけでもなければ、
これでドン詰まりになって逆戻りするわけでもありません。
「これで一巻の終わりさ」とやっかみ半分の捨てゼリフは
耳にタコができるほどきこえてきますが、
「先進国のコピーをして成長する時代は終わったのだ」
ということではないでしょうか。
先進国だって一巻の終わりになりつつあるんですから。


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2009年1月3日(土)

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