中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3286回
個人もユダヤ人と華僑に負けるな

企業が生産工場まで含めて
海外に移転するのはよくよくのことです。
大抵の場合は、コストが高くなりすぎて、
人件費の多くかかる仕事を人件費の安い国に移したり、
関税が高いために、
消費国に工場を移して現地で生産をするのが
これまでのやり方でしたが、
昨今のように輸出先が世界的な規模に拡がり、
コストの安さが最大の争点になると、
商売をやるのに最も有利な生産地はどこかということで
場所の選定をする必要が起ってきます。

たとえば、世界的な市場を持つ自動車メーカーは
何も消費国をどこかで生産基地を決定する必要はなく、
どこで生産するのがコスト的に有利かで、
既に世界各地につくった工場の中で、
どこを残すかと考えるようになります。
日産自動車は大株主が日本人でなくなったこともありますが、
生産基地をタイにすると発表しております。
こうしたことは世界的スケールで物をつくり、
世界中をマーケットにする企業にとっては
ごく常識的な政策決定の対象になります。
日本のように長く自国に固執する国でも、
次のステップでは次第に生産基地を
日本以外のもっと有利な地域に動かすことが
考えられるようになります。

それに比べれば、
個人がどこを根拠地にして働くかを選択するかは
もっとずっと簡単にやれます。
言葉さえ覚えればいいのですから、
中国や東南アジアはもとよりのこと、
アフリカにでも、インドにでも動くことができます。
現に10年前に比べても、
北京や上海に留学に来る日本人の若者はめっきりふえました。
大抵は大学を出てから、言葉を覚えるための留学ですから、
勉強が終ったら、現地で働くことになります。
はたして現地でやれる仕事があるのかと首をかしげる人は、
そういう人の中にはおりません。
「求めよ、さらばあたえられん」というのが若者の特権で、
これからはそういう人たちが
日本人を世界的なレベルにまで押しあげることになるのです。
国があっても、国のない人に負けずに働く時代が来たのです。


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2009年3月9日(月)

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