中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3304回
年代別に値段の違うのはワインと普洱茶

年代別に世間の評価が違い、値段の決まる食べ物は
私の知る限り、ワインと雲南省の普洱茶だけです。
普洱茶は包装に作られた年が記載されており、
年と共に発酵がすすみ、
いいお茶になると香りがよくなります。
ですから香港のスーパーで売られている普洱茶でも
年代物になると、びっくりするような値段がついています。

私がはじめて普洱茶に接したのは、60何年も前に、
台湾の未来の地位を国民投票で決めるべきだという請願書を
国連に提出するために
生まれてはじめて香港を訪れた時のことでした。
普洱茶を日常、一番たくさん飲んでいるのは恐らく、
いまでも香港の人たちです。
香港人は飲茶(ヤムチャ)の時に「お茶は?」ときかれると、
「普洱茶」と答える人が多いのです。
小さな湯呑茶碗に注がれた真っ黒な普洱茶を一口飲んで
そのカビ臭さに驚いたことはいまでもはっきり覚えています。
しかし慣れるとそのカビ臭さが
また忘れがたいお茶の味になるのです。

以来、東京に住むようになってからも
香港に行くと年代物の普洱茶を買うようになりました。
私がスーパーで4つ5つ積み上げて買おうとすると、
売り子がびっくりして「1個いくらかご存じですか」とききます。
1個で1万円くらいするのは珍しくないのです。
私が値段標のところを指して「この値段でしょう」と言うと、
「おわかりならいいんです。
レジまで持って行ってまた戻ってくる人が多いものですから」
と謝ることが珍しくありません。

まさかその賞味者の1人にすぎない私が
雲南省にコーヒーのプラントまでつくり、
更に普洱茶の畑にまで足を踏み入れるようになるとは
想像もしていませんでした。
いま私は何千年も続いてきた普洱茶に
改良のきっかけをつくるために、
普洱茶の品評会をひらく計画をすすめています。
そのきっかけは日本茶の生産を雲南でやるためです。
あと何年かすると、日本人の飲む日本茶が
日本で不足するようになるのです。


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2009年3月27日(金)

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