中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3331回
1ドル100円が当分は妥当な線

では円相場はいくらくらいが妥当なのかということになると、
誰ひとり正しい答を出せる人はいないと思います。
次の段階で円高になるのか、円安になるのかは
実際になって見ないとわからないし、
プロと言われている人たちでも
間違えることが珍しくありません。

たとえば円高になって1ドルが90円を割ったとき、
私は「いくら何でも行きすぎだ、
これじゃ日本の輸出産業は大半が大赤字になってしまう」
と予想しました。
「じゃいくらが正しいのですか?」とききかえされたので、
「とりあえずは100円前後じゃありませんか」と答えましたが、
100円まで戻るのにかなりの時日を要しましたし、
そうなるまでにトヨタや日産や、日立、東芝をはじめ
日本を代表する大企業が軒並み大赤字に転落してしまいました。
そうなるまでは日銀が大量に円売りをやっておけば、
産業界も一息つけただろうし、
税収もこんなに深刻な状態まで
追い込まれないですんだのではないでしょうか。

むろん、日銀や政府の意向で、
為替相場が思うように操作できるとは限りません。
しかし、為替をいじる投機資金だって
当局がどう出るかによってやり方を変えますから、
政府がどういう姿勢をとるかをはっきり見せると見せないとでは、
為替相場は違った動きになります。
日本の場合は、政府の立場をはっきりさせないばかりでなく、
無策を標榜しているようなものですから、
投機資金に見くびられてしまうのです。

しかし、それでも少し長い目で見たら、
為替相場は揺れ動きながらも、
当面の情勢を反映した妥当なところに落着きます。
少し時間がかかりましたが、
やっと1ドル100円前後まで戻ってきました。
私は天下の情勢を見てここいらが妥当な線と考えていますが、
このレートだっていつ崩れるかわかりません。
でも当分は1ドル100円と計算して
商売が成り立つような対策をとらなければならないと思います。
それ以上に円安になれば
思わぬボーナスにありつけたことになりますが。


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2009年4月23日(木)

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