中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3416回
現地人相手の日本風料理屋を志せ

世界的な金融不安がはじまると、
一番大きな影響を受けるのはアメリカですが、
アメリカに工業製品を売って産業界が成り立っている
日本も中国も身分相応のショックを受けます。
とりわけアメリカと関係が深い日本は
進出企業が多い分だけ受けるショックも大きく、
すぐにも海外につくった工場や販売会社を縮小して
現地派遣社員を呼び戻しにかかります。

私が見ていると、
中国の受けるショックはそんなに大きくないし、
むしろ日本国内の消費の減退の方がずっと大きいのに、
どこの会社も勝手知った日本国内は残して
海外拠点を縮小しにかかります。
日本人が引き揚げると、
日本人相手の日本料理屋やサービス業は
売り上げが激減しますから、
最近の北京や上海など比較的に日本人の多い大都市は
店じまいをする日本人相手の店が目立っています。
本当は日本国内の小売商やサービス業の方が
ずっと長期にわたってピンチを蒙るのに、
外国につくった拠点の方を閉めて日本に帰る企業が多いのです。

これは外国だと不安で、
勝手知った日本の方が心強いせいでしょうが、
外国で商売をする場合は外国人を相手にするよりも、
外国で働くようになった日本人を対象に
商売する人が多いからです。
たとえば日本料理屋だって
日本人なら毎日のように来てくれるけれども、
いくら日本料理をひいきにしてくれる人でも、
外国人は1カ月1回か2回来てくれるかどうかですから、
ついつい日本人客を頼りにしてしまいます。
日本人が外国に行って料理屋をひらく場合は、
日本人の食べる日本料理屋ではなくて、
その土地の人に受け入れられる日本風の現地料理でないと
立派に成り立って行けないのではないでしょうか。

たとえば、アメリカで一頃流行したベニハナは
日本風のビフテキ屋ではなくて、
日本風のアメリカ料理だから
多くのアメリカ人に受け入れられたのです。
それと同じことを中国でやっておれば、
日本人の多くが引き揚げるようになっても
店じまいに追い込まれることはないのではないでしょうか。


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2009年7月17日(金)

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