中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3432回
アメリカの恢復は遅いと見ます

アメリカの産業界の主流が
物づくりによって付加価値を生み出すことから
お金でお金を生む方向に移ると、もう元へ戻れなくなります。
お金でお金を生む仕事が行き詰ったから、
じゃまた物づくりをしましょうかと言っても
そう簡単にはいきません。
それどころか、使うお金が減れば、物だって売れなくなりますから、
もっと安くつくらなければならなくなります。

アメリカが不景気になれば、
商品を提供している日本や中国に
「もっと安くつくれ、でなければ取引先を変えるぞ」
とおどかしにかかりますから、
供給業者は一そうの値下げに努力するよりほかなく、
生産基地をベトナムに移そうか、カンボジアに移そうか、
いっそのことこの際、
思い切ってバングラデシュに移してしまおうかということになります。
アメリカが金づくりから物づくりに戻ることは
考えられないことなのです。

ではアメリカは
どうやって生き残りをはかるのかということになりますが、
一旦、楽をして生きる術を身につけた人が
再び汗水垂らして生きる昔に戻ることは先ずありません。
とすればドルがまだお金として通用している限り
ドルに頼って生きることになります。
従ってドルの増刷は続くし、
物をつくるよりも物を売って流通過程で稼ぐ以外に
新しい道がひらける可能性はまずないと言ってよいでしょう。

そうなると、お金でお金を稼ぐ新しい分野がひらかれない限り、
アメリカの経済の持ち直しは期待できないことになります。
それは国力の衰微を意味しますから、
景気の恢復にはかなりの時間を要するのではないでしょうか。
アメリカを相手の商売はかなり当てがはずれますが、
全くなくなってしまうわけではありません。
その代わり成長より後退が続きますから、
アメリカを当てにするより
新興国に市場を切り替える必要が起ります。
あなたの会社はそういう手をちゃんと打っていますか。


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2009年8月2日(日)

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