中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3439回
一杯5元のソバをベンツで乗りつけて

中国人は日本人の食べるソバのような食べ方をしません。
ソバは貧乏人の食べる物で、
ソバ粉をねって饅頭にして食べていると私は教えられてきました。
確かにソバの産地である雲南省の曲靖というところでは
饅頭の形にしたものを食べましたが、
日本風のソバはもとよりのこと、
中国の麺のような形にしたものも食べたことがありませんでした。

日本では鴨なんばんとか、ニシンそばとか、
具を入れて汁を加えて食べるそばの食べ方もありますが、
もっとも親しまれているのはざるそばとか、盛りそばでしょう。
はじめて香港から日本に連れて来たうちの家内を
中軽井沢の沓掛という日本そば屋に連れて行って
盛りそばを食べさせたことがありますが、
「どんな味?」
ときいたら、しばらく考えてから
「そうね、靴の底をかじっているような感じ」
と答えられたことがあります。
おいしいともまずいとも言わなかったのですが、
その後、長く日本に住むようになると、
「藪に行こうか」「竹藪にしようか」
と言っても黙ってついて来るのを見ると、
そばは日本人に合うというよりも、
日本の気候風土にあった食べ物かも知れません。
そばに対する日本人の思い入れは
日本に住む人以外の人には考えも及ばないことだと思います。

ですから原産地で安くつくって
日本のそば好きに食べさせることばかり頭にあった私は
中国人にそばを食べさせることは考えてもいませんでした。
そばは中国から日本に渡って日本人の食べ物になりましたが、
日本人は肉食民族でなかったので、
鰹節でダシをとってニシンか、
鴨の肉を入れるのが精一杯だったのではないでしょうか。
もし中国でそばを食べるとしたら、
鰹節とニシンに代わって豚の骨か、牛の骨でダシをとって、
豚や牛や鶏の肉を具にする筈だと私は想像していましたが、
成都の大衆そば屋に乗りつけたら、
その通りのことがちゃんとあったのです。
その代わり一杯5元のそば屋にベンツで乗りつけたので、
奥から一せいにジロジロ目を向けられました。


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2009年8月9日(日)

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