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第3480回
政界と官界の人事交流が必要です

いまは何かというと、すぐ役人の悪口になります。
税金を払う人が税務署の役人の悪口を言うのならわかりますが、
政治家が役人のトップを扱いかねて文句を言うのは、
自分たちが役人たちに歯が立たないからです。

もう半世紀も前になりますが、
私が「中央公論」誌の巻頭論文の常連をつとめていた頃、
私は「官僚興国論」という一文を書いて、
官僚をボロクソに思いこんでいた藤原弘達さんをはじめ、
日本のオピニオン・リーダーたちから
クソミソに言われたことがあります。
私がお役人さんの肩を持ったのは、
敗戦によって日本を支配してきた軍人も財閥も
強制解散させられて僅かに役人だけが残ったが、
日本の役人はちゃんと大学も出ているし、
役人になっても自分たちの担当している部署について
真面目に勉強しているし、
且つ世界中のどこの国の役人に比べても
職権を濫用せず、汚職が少い。
こういう人たちがいるおかげで、
日本経済は順調に成長しているのではないかと主張したのです。

しかし、その一方で
「お役人が予算編制の実権を握ったら、
退職後の自分たちに道をひらくために
日本国中が公団公社であふれるようになる。」
とオール読物に連載した「キチガイ日本」の中で
指摘したこともあります。
その後の経過を見ると、どちらも真実であって
政治家が政争に明け暮れている間に、
役人は着々と橋頭堡を築き、
政治家がいくら頑張っても歯が立たない
体制になってしまったのです。

これを正面に立って攻撃したのでは
いくら頑張っても叩きこわすことができるわけがありません。
制度としては政治家の方が役人に命令する立場にいるのですから、
何をさておいても役人たちが言うことをきいてくれるだけの
見識と人格のある政治家が出現する必要があります。
お役人の中で一番人望のある人がその役割をはたしても、
もちろんかまいません。
現にかつて日本経済の成長期には
役人あがりの政治家たちが少くありませんでした。
そういう人事の交流のない限り、
日本の政治も経済も封建時代に逆戻りすることに
なってしまうのではないでしょうか。


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2009年9月19日(土)

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