中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3557回
コーヒー植えて財をなした人はいません

コーヒー・ビジネスというと、カッコよくきこえると見えて、
私が雲南省の山奥でコーヒー園をやるが
誰か手伝ってくれる人いませんかとこの欄に書いた時も、
30名ほどの青年たちから申し込みを受けました。
でも頭の中で想像するのと、
実際にやることには天と地ほどの差があります。

私も自分でコーヒーの栽培をやるまで知らなかったことですが、
コーヒー豆の栽培に従事した人で
金持ちになった人は1人もいないのですね。
地球上にはコーヒー・ベルトというのがあって、
赤道から上下25度までに位置していて
海抜1000メートル前後のところだと
コーヒーがうまく育つ地域があるのです。
もともとはエチオピアが原産地で、
そこからアラビアに持ち込まれてアラビカという品種ができあがり、
それがジャマイカに移植されたのがブルーマウンテンになり、
印度、ビルマを経て雲南省に持ち込まれて生き残ったのが
いま私たちが何とか物にできないかと企てている
ティピカという小粒で味のいい品種です。

その雲南省にも、
もっと虫食いが少くて大量に収穫のできる他品種が攻め込んで来て、
このまま放置しておけば
ティピカが幻のコーヒーになることは目に見えています。
それならせめて僕たちが生き残りを図ろうじゃないかと、
山を切りひらいて植えにかかったのですが、
周囲を見廻わすと、コーヒーを植える農家がたくさんあって
その人たちからコーヒー豆を仕入れて選別して
外国の商社に輸出している工場が何社かあります。
しかし、そうした加工場も含めて、
コーヒー豆を扱っている人たちの懐具合がいい話は
きいたことがありません。
相場に左右されて
金ぐりに困っている噂はしょっちゅう耳にしますが、
コーヒーで財をなした人にはついぞ出会ったことがないのです。
コーヒーで金持ちになった人があるとすれば
それはコーヒーの焙煎に従事して自社ブランドで売り出して
上場企業にまでのしあがった人たちです。
でなければスターバックスのような
コーヒー・チェーンをつくりあげた人たちです。
私たちが奇跡にめぐりあうチャンスがあるとは
どう考えてもありそうにないことに気づくのに
そう時間はかかりませんでした。


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2009年12月5日(土)

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