中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3627回
銀行株は景気変動のブレーキ役です

お金はお金を儲けてくれる仕事があればどこにでも動きます。
為替相場がお金を儲けてくれそうなら、
為替に全く知識のない人でも外貨を買ったり売ったりします。
また石油の先物が大きく動けば、
石油の先物を買ったり売ったりしたことのない人でも
石油の相場に手を出します。
株でも不動産でも、相場が動くとなれば、
手を出してくる人には困らないのです。

アメリカが国民の節約したお金で石油や外貨を買う代わりに、
ドル紙幣を印刷してその代金を払えば、
紙幣のふえた分だけ投機に動くお金もふえます。
ですから実際に輸入品の代金に支払われるお金よりも、
投機に走るお金が何倍にもふえてしまい、
どこの国の中央銀行の総裁の手にも負えなくなる
動きをするようになってしまいました。

ということは一歩間違えたら、
投機に走るお金は取り返えしのつかないことになって、
金融機関を倒産に追い込むことは、
投機資金が存在している限り、今後もあり得るということです。
それが金融機関を破産させるだけでなく
実体経済をピンチに追い込むとすれば、
投機の弊害が
銀行といった庶民のお金を預かる機関に及ばないようにするのも
必要なことだと言っていいでしょう。

つまり庶民のお金を預かる銀行と
元も子もなくなってしまうかも知れない投資信託や投資銀行の資金は
はっきりと区別して、
銀行のお金が投機資金に流用されないような制限をすることは、
今後の世直しのプログラムでも必要なことではないでしょうか。
仮りにそれができたとしても、
銀行は政府の景気対策の影響を最も激しく受ける業種ですから、
景気が恢復する過程に入っても
期待できるような派手な株価の動きには
ならないのではないでしょうか。
最近の中国の銀行株の動きを見ている限りでは、
銀行は政府が首を締める対象にはなっても、
目の醒めるような派手な利益をあげる可能性は
低いのではないでしょうか。
銀行株は資本金も大きいので
株を持っている人もその分、多いと思いますが。


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2010年2月13日(土)

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