中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3663回
14兆円分消費をふやすのはいかが

バブルのはじけた後、銀行からお金を借りていた人たちは
やいのやいのとうるさく返済を迫られました。
私もマンションを買うために借りていたお金を
半分ほど返済しましたが、
銀行の方が倒産してしまったので、
あとを引き受けた債務整理会社から、
「残金を支払わないと訴えるぞ」と脅迫されて、
結局、全額返済しました。
バブルの最中は銀行が私の家まで押しかけてきて、
「500億円借りてくれませんか」と懇願されましたが、
肝っ玉がなくて借りそびれて本当によかったと
胸を撫でおろしたものです。
友人の中で借金が返えせなくなったために倒産したり、
牢屋にまで入った人も2人や3人ではありません。

銀行の中にも、もちろん、
整理や合併の対象になったものもありますが、
今日生き残っている大半の銀行は
定期預金の金利を只みたいな水準まで下げてもらって、
それを外国の投資銀行に又貸しして、利ザヤを稼いでいます。
一方、中小企業のオヤジさんたちはもう金輪際、
銀行のお金なんか借りてやるものかとタンカを切って、
何とかやりくりをしています。

すると、バブルの後、実際に日本で起ったことは何かというと、
国は定期預金の金利を減らして、
安い資金を日本の銀行を通じて、
日本企業の株の買い占め資金を提供したことになります。
そのかげにかくれて、本来、金利で生活していた人たちは
生活資金を削りとられたことになりますから、
その分だけ消費が削減されたことになります。
バブルがはじけてからこの方、
消費をふやして景気の梃子入れをするどころか、
逆に消費資金を削減して、
日本株買い占めの資金を提供したことになりますから、
産業界への資金援助が
結果的には消費資金の削減をもたらしたことになります。

それでも低金利政策は
日本の景気の梃子入れに役立っているのでしょうか。
この際、金利を1%引き上げて1400兆円の預金者に金利を払えば、
その全部でなくても、かなりの部分が
ショッピングにまわるのではないでしょうか。


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2010年3月21日(日)

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