中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3727回
パイプ・ラインは世界的な大事業です

いまの中国ではエネルギーの供給は7割を石炭に頼っていますが、
自動車の普及と生活水準の向上と共に
石油と天然ガスに依存するようになることは目に見えています。
国内生産がほぼ限界に達したので、
中国政府はアメリカと対立関係にあるイランと急速に近づき、
LNG輸入と油田開発に参画しはじめただけでなく、
イランと国境を接するパキスタンのグワダル港に桟橋をつくり、
中央アジア経由でイランとのパイプラインの敷設を計画しています。
これが実現すれば、
日量600万バレルに達するイラン石油を
一手に引き受けることができるので、
アメリカから軍事上の干渉を受けずに
エネルギーの運搬ができるようになります。

またアメリカと折り合いの悪いミャンマーとの間に
パイプラインを昨年10月から着工しはじめ、
これが完成すれば、中国はマラッカ海峡を経過せずに、
アフリカや中東の石油や天然ガスを輸入することが可能になります。

こうした遠大な計画は着々と進行しており、
これらの新事業はいずれも陸上運送のパイプを必要としています。
その尨大なプランに比べると勝利管道や珠江鋼管のスケールは
まだ食べ盛りの子供みたいなもので、
毎年毎年、拡張また拡張が予想されます。
ですから「タカが石油と天然ガスの輸送パイプか」
と見縊るわけにはいきません。

何しろ中国の石油の消費量はアメリカの半分に達したのに、
陸上輸送のパイプはアメリカの10%にも達していないのです。
それを国内だけでなく、アフリカや中近東からミャンマー、
雲南省経由で、北京や上海まで運ぶとなれば、
先はまだまだ長いと考えていいのではないでしょうか。
勝利管道はいまの時点で現金11億元も抱えて
関連企業の買収に目を光らせているところですから、
これをエネルギーの陸上運送事業の
チャンピオン候補としてとらえれば、
まだ当分は天井に頭をぶっつけることにはならない筈です。
皆さんも数字と首っ引きでその将来性について研究して見て下さい。


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2010年5月24日(月)

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