中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3760回
日本と違う中国の外貨の使い方

中国の製鉄能力はあッという間に日本の5倍になりました。
生産される鉄材は
安普請に使われる鉄筋のような低級品が多いのですが、
高級品だろうと、低級品だろうと、これだけ量が多くなると、
鉄鉱石の価格決定権は日本から中国に移ってしまいます。
中国が粘りに粘ばれば、オーストラリアだって、ブラジルだって
中国メーカーの意見を無視するわけには行かないのです。

中国側に好都合なことに、
この10年あまりの大幅貿易黒字のおかげで、
中国は2兆4千億ドルほどの外貨を貯め込みました。
日本も工業化に成功した過程で、
中国に次ぐ第二のドル保有国になっていますが、
日本の工業化は
「お金さえ払えば資源はいくらでも手に入る」時代だったので、
石油だろうと、鉄鉱石だろうと、ボーキサイトだろうが、
自分たちで資源の確保にそれだけ血眼になる必要がなかったのです。

ですから、資源の確保に出資するより、
稼いだ外貨の大半でアメリカの国債を買い、
寝ていても利子でお金をふやせる道を選んだのです。
この違いがここへ来て、
中国と日本の明暗を大きく分けることになりました。
1バレル2ドルか、3ドルだった石油が100ドルを突破して
150ドルまで達すると、
何の手も打たなかった日本が大あわてにあわてても間に合いません。

日本の場合は輸入したエネルギーを全部消費してしまうわけでなく、
工業製品に加工してまた産油国に売りつけるわけですから、
貿易収支がアメリカのように一歩的赤字にならない限り、
何とかやりくりができますが、
中国は石油が高くなって行く過程で
石油の大量消費がはじまっているので、
両者の緊張感に天と地ほどの差があります。

従って中国は貯まった外貨を
日本のようにアメリカの国債の塩漬けに使うことは
はじめから考えていません。
それどころか、ドルがそのうちに目減りする、
今のうちに稼いだドルを使って
資源や技術を手に入れなくっちゃとあせっているのです。
中国の手持ち外貨にこれから何が起るか、
想像できるのではないでしょうか。


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2010年6月26日(土)

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