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第3768回
テレビのお客は大衆でなくて本当は愚衆

日本に帰って来て、新聞を見たり、テレビを見ると、
とてもびっくりします。
本当にこれでいいのだろうか、
日本の大半の人たちは何の夢ももたらさない、
こんな不毛なマスコミに朝から晩まで接していて、
これでいいと思っているのだろうか、と
とても心配になります。

新聞の斜陽化は誰にもそれとわかるほど
目につくようになったので、
寿命の盡きるのはいつかと指折り数えればすむことですが、
もっとどうにもならないのはテレビではないでしょうか。
テレビが普及しはじめた頃、テレビの番組が
視聴者に物を考えるいとまもあたえないのを見て、
口の悪い大宅壮一さんが
「一億総白痴化運動」と毒づきましたが、
日本の場合は多チャンネル化を政府が制限して
その特権を既成のテレビ会社に限ってしまったので、
特権の上に安眠をむさぼるテレビ会社だけになってしまいました。

テレビ会社は何をやっているかというと、
毎日の何時から何時まではどういう番組をつくるか、
その時間帯はどこの会社をスポンサーにして
いくら広告料をもらうか、
ついで番組の作成はどこの下請会社に出すか、
その差額をどのくらい抜けばビジネスになるかというのが
会社の仕事になってしまったのです。
問題を起して大騒ぎになった
有名な番組のスポンサー料が1億円で、
下請けをしたプロダクションへの支払いが800万円、
その差がテレビ会社の収入ですから、
一流企業の倍の高給を社員に払っても
まだ高い株価を維持することができる高収益企業になったのです。

プロデューサーを下請け会社に派遣しただけで
自分たちがつくったことになっていますが
できた番組を誰に見せるかというと、
マスコミというときこえはいいですが、
実はただぼんやり時間潰しをやっている人たち、
つまり大衆ではなくて、
愚衆相手だということになってしまったのです。
毎日毎日、こんなことをくりかえしていて、
日本の国は本当に大丈夫なのでしょうか。
電波通信法をなおす必要があるところまで
来てしまったのではないでしょうか。


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2010年7月4日(日)

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