中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4022回
次の政変は中国ではありません

エジプトやリビアに政変が起ると、
次は中国だと早合点するあわて者が日本人の中に
結構たくさんいます。
新聞までがそういう論調を展開しています。
世界中に起っていることに対して無知蒙昧であることがわかります。

もちろん、中国もたくさん問題を抱えています。
次々と新しく起ってくる経済問題にうまく対応できていないことに
私もじれったい思いをしていますが、
日本とどちらかということになると、
日本の方が問題は大きいのではないでしょうか。

バングラデシュやインドネシアから帰ってくると
すぐにわかることですが、
中国の経済は大へんな勢いで成長しています。
少し前にもアメリカの金融不安が津波になって中国に押し寄せ、
いまは中近東の混乱が中国の株価にも影響していますが、
中国の抱えている問題は
経済成長のスピードが早すぎるために起っている
人手不足と物価高が惹き起している混乱です。

政府のやっていることに不満がないわけではありませんが、
体制そのものを否定する大がかりな動きではありません。
政府に対する不満や批判なら
日本の方がずっと強いのではないでしょうか。
いま中国で起っている最大の変化は
むしろ今までそれが当り前だと思ってやってきた
中国人の生き方に対する自己批判です。

お金があるようになったので、
海外旅行に出かける人が大量にふえました。
よその国に行って見ると、
自分たちの至らないところが目につきます。
交通信号を守らなかったことも、
行政を無視して割り込んだことも
今や自己批判の対象になっています。
なかでも一番身にこたえるのは親切心ではないでしょうか。

お店屋さんに入ったらすぐにわかります。
競争が激しくなったこともありますが、
短い間にお客の扱い方がまるで変わってしまいました。
こんな雰囲気の中で政変を促すようなデモが起る可能性は
先ずありません。
政府の主導する日本に対するデモなら時々ありますが。


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2011年3月15日(火)

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