中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4036回
デパートの食品売場が2階分に?

俗に衣食住と言いますが、
人間が生活して行く上で一番大切なのは
この3つの中で何と言っても「食」でしょう。
豊かになった中国では今でこそ
「你好」(ご機嫌いかがですか)と挨拶しますが、
少し前までは「吃了飯」(ご飯食べましたか)
と挨拶をしたものです。
ちゃんとご飯が食べられるということは
生活が安泰だという代名詞だったのです。

それに対して日本人は
「いいお天気ですね」とその日の天気を挨拶の言葉にします。
日本語で一番多い言葉は「気」のついた言葉ですが、
「気持ちがいい」「気が大きい」「気短か」「気色が悪い」
から始まって
「そう言われてはじめて気がついた」というのまで、
日本人はその日の気分に左右されて生きています。
そのもとはと言えば、
農産物の出来不出来を左右するのはお天気ですから、
その実、作物がうまく実ることを気にしているのです。
人間の生活感情を大きく左右するのは「食」であることは
どこの国も共通していると言ってよいのではないでしょうか。

そうした中で、経済が成長をはじめると、
着る物が贅沢になるとか、住む家が立派になるとか言うことも、
もちろん、ありますが、
何と言ってもお金が一番たくさん使われるのは食べることです。
中国では人手不足が表面化して
これから毎年、20%くらい賃上げが続くと私は見ていますが、
そうしてふえたお金の15%から20%は
食べることに費やされるのではないでしょうか。

日本の方が一足先になるかも知れませんが、
デパートの食料品売場は地下1階分を占めていたのが
やがて2階分になると私は見ています。
スーパーがかつて安売りで
デパートの食品売場のお客を奪いましたが、
最近は逆にデパートの高級な食品売場が
スーパーの商売を奪いかえしています。
それがやがて1階分が2階分になることが視界に入ってきました。
中国のような食いしん坊の多い国が
その後を追ってやがて日本を追い越すことも考えられます。


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2011年3月29日(火)

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