中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4058回
東京に夜が戻ってホッとしています

大地震のあった日、私はたまたま北京にいたので、
グラッと来るのを体験しませんでした。
いつもは北京に来ても3、4日ですぐ別の都市に飛ぶのに、
今回に限って
2週間以上も北京に滞在するスケジュールを組んでいたし、
地震ときいてすぐに連絡をとっても電話はどこにも通ぜず、
翌日になってやっと家中の者が無事なことを知らされました。

私は自分が生死の間をさまよった経験が何回もあるし、
孔子の言う通り
「富貴は天にあり」「生死は天命なり」と思っていますから、
天変地異をさして恐れません。
ですから原子力発電所の故障をきいても
帰るスケジュールを変えようと思わなかったのですが、
逆に家内が子どもたちにせかされて
北京まで飛んで来てしまいましたので、
地震と大津波が発生してから2週間あまりたって、
やっと東京へ戻りました。

その間、NHKや日本経済新聞を見るほか
中国、香港、台湾のニュースが刻々と目と耳に入ってきます。
日本国内では国中の人を安心させるために
控え目なニュースに終始していますが、
中国にとって日本はよその国だし、自国人の安全第一ですから、
リビアから3万5千人の中国人を
専用機まで出して避難させたのに劣らない報道が
次から次へと続きます。
私たちが苦労して銀川や成都から東京へ派遣した研修生の大半が
びっくり仰天して逃げ帰ったとしても
何ら異とするに足りません。

何しろ私は大暴風雨のさなかに
着陸しそこなった眞っさらのボーイングが
香港の飛行場で着陸しそこなって
海の中に突っ込んでも死ななかったのですから、
原発の故障くらいでは驚きません。
自分の誕生日の前日に3週間ぶりに東京に戻って見ると、
成田から自宅に戻るまでの高速道路もスイスイと走れたし、
窓から覗く町並は星が見え
「ああ、久しぶりに夜が戻って来たな」
「昼と夜のある昔が懐しい」
と思わず胸を撫でおろしました。
久しく味あわなかったことですが、
昼と夜の区別があって、
1日中、テレビとパソコンに悩まされないですむのも、
とてもいい人生の一齣だと思いませんか。


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2011年4月20日(水)

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