中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4159回
私もセブン・スターズではひどい目に

経済成長について言えば、日本の方が中国の大先輩です。
ですからかつて日本で起ったことが
やがて中国でも起る――と考えたくなります。
とりわけ日本経済が敗戦のピンチから池田倍増内閣になり、
更に大成長をする道程にずっと立ち会ってきた人は
頭の中につまっている知識と経験が大きく考え方を左右します。

日本にいる時はいやでも日本のテレビを見ます。
いまの日本のテレビは「味オンチの食べ歩き」と
「低能人のクイズ」番組で埋まっていますが、
そのスキマを埋めているのが「テレビ・ショッピング」です。
あれを見た後に中国に行ってテレビを覗き込むと、
きっと少し遅れて中国でも同じことが起るに違いないと、
つい思い込んでしまいます。

ならば、まだ株式市場に新入りして間もない
セブン・スターズにも陽が当るんじゃないか、
と私は早合点しました。
そこで香港に行った時に、セブン・スターズの本社を訪問しました。
社長にはあえませんでしたが、秘書課の女性のスタッフが
私の応待をしました。
業績は順調で、うちの社員は2ドルになると言うので、
1ドル20セントで株を買っていますと何気ない話でした。

社員でもそうするのなら、有望銘柄かも知れないと考えて、
上海の事業所を見せてもらえませんかと申し込み、
テレビで電話機の即売をしているテレビ局の見学にも行きました。
これなら間違いなかろうと判断してかなりの株数を仕込みました。
ところが、その後の業績が会社の予想とは逆の方向に動くばかりで、
少し株価が上向くと董事長が安値で増資した株を
販売のできる決議があることを知って、
自分の判断が甘かったことに気づきました。
株価は私が買った半分以下に値下がりしていましたが、
私は全株を叩き売ってしまいました。
2億円くらい損したと思います。

でも自分が叩き売ったことは公表しませんでした。
だって株を持っている人の邪魔をするわけには行きませんから。


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2011年7月30日(土)

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