中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4259回
国債を買わないこと、銀行株を買わないこと

日本の商売はさっぱりだし、
日本の株は下がることはあっても、
値上がりの兆ざしは全く見られません。
それでいて円だけが空前の高値を切っているというのですから、
日本に住んでいる日本人には何が何だか、さっぱりわかりません。

世界をかけまわる投機資金が集中して円を買っているのだと
新聞や雑誌には解説が載っていますが、
投機資金はメクラなんじゃないかと思いたくなります。
それでも実際にそう言うことが起っているんですから、
日本はアメリカやヨーロッパのユーロ加盟国に比べると
まだましなんだということになります。

日本もその例外ではありませんが、
世界の通貨が金本位制からペーパー・マネーに変わり、
世界中がアメリカの真似をして、
紙幣を刷ってそれで罷り通るようになると、
紙幣の発行権を持つ各国の政府が紙幣を刷って
大盤振舞いをするようになりました。
そのつけがいよいよまわってきたということになります。

たとえばギリシャの政府がデフォルト宣言をするようになると、
ギリシャの国債を大量に仕込んだ銀行が債務超過に陥ち入って
バタバタと倒産することになります。
それがたちまち連鎖反応を起して、
ヨーロッパやアメリカの金融機関だけでなく、
香港やシンガポールや日本の銀行でも存亡の危機に立たされます。

考えて見たら、ついこの間まで融資先の面倒を見ていた銀行が
庶民の富づくりに関心を持たなくなって、
債券からの収入で左団扇をきめ込むようになってしまったのです。
従ってどこの国の政府のやりくりが行き詰っても、
それが連鎖反応を起して
世界中の金融機関をピンチに追い込みます。

そうした通貨制度の欠陥が
いよいよ発病まで追い込まれているのですから、
そう簡単には片がつきません。
今やれることはそれぞれの国の国家破産を
先送りにするだけですから、
国債を買わないことと銀行株を買わないことくらいしか、
自分たちの財布に伝染するのを防ぐ方法は
ないのじゃないでしょうか。


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2011年11月7日(月)

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