中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4265回
頭を使わない人の集団、それが銀行

今は日本人も多くの人が外国に行くようになったし、
外国人の友達も持つようになりましたが、
50年前はまだまだ排他的で、日本の一流会社の中で
「外国人は取締役になることを得ず」
と社則に書き込んでいた会社もあったし、
「外国の技術は受け入れるが、外資は一切ご免」
というのが通産省の基本方針でもありました。
現にこれだけ人手不足になったり、
人口減少がはじまっても外国人の受け入れに
扉を閉めている先進国も世界に類例がありません。

その日本で、バブルがはじけた後、
日本企業への融資を見限った日本の銀行は
低金利で庶民から預かったお金を
日本の企業を狙う世界の禿鷹たちに融資して、
日本の一流株の買い占めに力を貸したのです。
四季報の株主という欄を覗いたらわかりますが、
ソニーは43.2%が、キャノンは40.2%が外国人になっています。
これでは株主総会をひらいて代表取締役に
外国人が任命されたとしても不思議でも何でもありません。
グローバル化が時代の動きであって見れば
不思議なことではありませんが、
外国人のことを外人さんと呼んで
なかなか自分たちの仲間にいれなかったついこの間と比べたら
隔世の感があります。

その役割を積極的に果したのが日本の銀行ですが、
おかげで日本の銀行の商売の仕方も一変してしまいました。
私がはじめて銀行にお金を借りに行った頃、
銀行の支店長や営業部員は毎日のように商店街を歩いて
売上げにまで気をつかっていましたが、お客から預かったお金で
国債や一流社債や一流投資会社に融資するようになれば、
利息や配当金が払込まれるのを待つだけで、
世間の商売がどうなっているかに神経を使う必要は
一切なくなってしまったのです。

これで銀行の業務内容が一変してしまったと言うこともできますが、
銀行員に頭を使う人が一切不要になったと言うのが本当でしょう。
何百社もあった銀行が10本指で数えられるほどに減ったのも
決して偶然ではありません。
頭を使う必要でない集団になってしまったのですから。


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2011年11月13日(日)

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