中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4270回
円高を活用する知恵はないものでしょうか

いまの日本は、日本人の眼から見ると、
東北大震災と原発事故の後遺症もあり、
また円高で日本の産業界が痛めつけられて、
かなりのピンチにおちいっています。
それなのに、世界中をうろつきまわっている
遊資の持主たちの眼には、
ヨーロッパやアメリカが遭遇しているピンチに比べると
遙かに健全に見えるのでしょうか。

ですから、なかなか終らない円高にしびれを切らせて
反応の鈍い日銀が政府の意向に合わせて、
円を3円ほど安くする動きに出ても、
ヨーロッパやアメリカで
たちまち元に戻すほどの買いが入っています。
そうした動きを見る限り、
欧米から中近東の成金たちの目には
ヨーロッパやアメリカの方がずっと危機に見舞われていて、
ほとんど爆発寸前になると映っているのではないでしょうか。

とすれば、これは日本にとってまたとないチャンスで、
日本円をたったの3兆円ではなくて、
その10倍から100兆円くらい刷って円を売りまくり、
円安にして日本の経済界が輸出で儲かるようにし、
円売りによって入手したドルで
世界中の資源を買いまくったらどうでしょうか。
日本が工業化に成功して外貨を稼ぎまくった30年ほど前は
先進国相手の商売だったので、
お金さえあれば資源はいくらでも手に入りました。
ですから日本人には資源を確保する観念が全くありません。
最も必要な石油でさえ、アラビヤ石油に手を出した程度のことで、
アルミや鉄鉱石や食糧でさえ、
すべてお金で買う方にまわって今日に至っています。

しかし、次の世界は先進国ではなくて、
地球上の人口の大半を占める新興国に番が廻ってきています。
中国はそのことを勘定に入れて、
手持ちの外貨で資源の獲保をする動きに出ています。
中国の3兆ドルがその動きに出て、
日本の1兆ドルがアメリカで眠っていてもいいと
日本人は思っているでしょうか。
日本も中国に見習って、
持っている外貨をもう少し有効に働かせたらどうでしょうか、
と思うのは私一人だけでしょうか。


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2011年11月18日(金)

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