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第4280回
早くも次の人事の前哨戦

来年になると中国の総統の交替が行われ、
次は習近平と決まっています。
総統の任期は4年、続任はあと一回なので、
よほどの失政がない限り、
あと8年は同じ人が総統を続任することになります。

まだ次の総統の就任もはじまっていませんが、
中国では早くもその次の副総理を目指す
役職候補の前哨戦がはじまっています。
江沢民、胡錦濤とケ小平の遺訓を継ぐ総統が続きましたが、
ケ小平の路線を守ると言っても
この20年で中国の経済は大きく発展し、
豊かになった人々の物の考え方も生活のレベルも
すっかり変わってしまいました。

中産階級より一足先に官僚と組んだ成金たちが誕生し、
それらの特権階級に対する批判は
無視のできないスケールにまで大きくなっています。
各地方で暴動が絶えないのも、
役人や警察が農地の買収に強権を発動したことから
起っていることが多いので、次の4年、
更にそれに続く4年の民衆の支持に投じようというのが
野心家たちの狙いです。

総統が代わっても、総理は留任するので
一番目立つ椅子は副総理の椅子ということになりますが、
その椅子をめぐって早くも前哨戦が噂されています。
その第一候補が大連市長から重慶市書記に転じた薄熙来です。
この人は重慶を我が物顔で支配してきた
ヤクザ者の征伐からはじまって、
毛沢東の昔に帰ることをしきりに訴えていますが、
それは資本主義化によって
富の分配に不公平が生じていることに対する
大衆の不満に相乗りする作戦と見ていいでしょう。

もう一つは広東省書記汪洋が
現に広東省で次々と打ち出している自由化への政策です。
輸出産業の先鞭をつけた広東省の企業が
真っ先にぶっつかった壁は官僚によるさまざまの規制です。
それを積極的に取り除くことは誰しも望んでいることですから、
もし本当にそれができたら
中国は大きく変わることが期待されています。

この2つの流れとも現代に対する批判からスタートしていますが、
それぞれに支持者があると考えていいでしょう。
はたしてどちらに傾くかによって
中国の運命も大きく変わることになります。


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2011年11月28日(月)

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